私がこの本を手に取ったのは、職場で心が病んで人が信じられず人に会いたくなかった時期でした。
ひとりで山登りを始めたのもこの頃。
自然の中を散歩する程度の山登りでしたが、無心で山頂を目指し、下山後に近くの温泉施設へ寄ってのんびりする。
当時、これが心も体もほぐしてくれました。
人に会うとどうしても比べたり、期待したり、気を遣ったり。
普段なら受け流せるものが受け流せずしんどい。
この本に同じようなエピソードが出てくるんです。
頑張りすぎてしんどくて起きれない。時計を見ると既に家を出る時間を過ぎている。
体調が悪いと言って遅刻して行くしかないかと著書は一旦観念しますが、結局休むことを選択します。
行ってみたかった温泉宿が空いてる!
予約をし、思い立って30分後に家を出て山梨へ向かったと。
荷造りも面倒で替えの下着を通勤カバンに入れ、スーパーでコンタクトの洗浄液を調達。
これぞ必要最低限(笑)身軽!
ひとりだからこそ、ですね。
いつするのか、何をやるか、何をしないかをいかようにもできる。
それが“ひとり”の醍醐味。
もちろん、ひとりの宿泊を敬遠される宿も多いし、割高料金、感想を誰とも共有できないとデメリットもある。
それでもなお“おひとり様”で楽しむことの自由さがありありと伝わってくる。
極上の贅沢って自分の意志で自由に選択して過ごせるってことではないでしょうか。
最初はひとりということで周りの目が気になるかもしれません。
旅館の食事の大広間も衝立で他のお客の目をさえぎってくれる配慮のあるところもあるのです。
そんなひとり客に配慮された場所の魅力をふんだんに紹介してくれてるこの本はまさに一歩を踏み出すのにうってつけ。
ぜひ、読んでひとりという至福に目覚め、新たな扉を開いてみてください。